Dの本質
次にD (=実行)ですが、そもそも我々は、なぜ計画を実行しなければならないのでしょうか?
某アニメーション映画ではないですが、ありのままに活動してはいけないのでしょうか?
ありのままと言えば聞こえはいいですが、要するにそれは「場当たり」「思いつき」の行動ということになりますよね。
思いつきで行動して目標達成できる人が、ごく稀にいます。そういう人は“天才”と呼ばれます。つまり天才ではない大多数の人間は、思いつきでは高い目標は達成できないということであり、多くの人が実感しているでしょう。思いつきで行動しても達成できないから計画を立てて実行する。一見あたり前に思えますが、では、計画通り行動するのは簡単ですか?
私たちの一日の活動の大部分を占めるのは、“習慣”です。
・朝起きてから家を出るまでの行動
・食事のとり方
・車の運転の仕方
・職場についてからの行動
・他者と話すときのコミュニケーションのあり方
・日報の書き方 …etc
これらはほぼ習慣通りに行っているのではないでしょうか。
まさに“ありのまま”とは“習慣通り”の行動のことであり、計画通りの行動とは相対する行動なのです。
つまり、計画通り行動しようとしても、常に習慣通りの行動が邪魔をするのです。
計画が習慣に破れたとき、人は「ついつい」とか「まあ、いいか」とか「明日から頑張ろう」とか、こういうセリフを心の中でつぶやきます。
・ダイエットにチャレンジしているけど、ついつい間食しちゃった!
・健康のためにお酒を控えているけど、今日は歓送迎会だから、まぁいいか。
・今日は仕事が長引いて資格試験の勉強ができなかった。明日から頑張ろう。 などなど。
したがって、PDCAが回らない2つ目の要因は、計画通りに行動できると安易に思っていると、習慣通りの行動に邪魔されてしまい、計画を実行できないという落とし穴にはまってしまうということです。
C(=振り返り)の本質
そしてC=振り返りですが、ここまで確認すると「振り返りなんて至難の業」というふうに思い始めているかもしれません。けれども、案外多くの人が「一応の振り返り」はやっているはずです。
例えば学生時代、テストの結果が返ってくるのが気になったりしませんでしたか?
通知表に“優”がいくつあるとか、“不可”はないだろうなとか、そわそわしませんでしたか?これらは皆、立派な振り返りです。自分が目的に向かって行動したことの結果を確認しているわけですから。
しかしこれだけでは片手落ちです。結果ばかりを振り返っても、振り返りの効果は望めません。なぜなら、結果とは行動の中身によって左右されるものであり、行動の中身にこそ結果の良し悪しの要因があるからです。つまり、結果とそれを生み出す行動を共に振り返らなければ、次のA=改善策につながるタネは見いだせず、何度も同じ行動パターンを繰り返してしまうからです。そしてその行動パターンの多くが、これまでの“習慣通り”の行動なのです。
では、人はなぜ行動の中身をあまり振り返らないのか?それは、結果を先に振り返ってしまい、その結果により一喜一憂すると、中身を振り返る意欲を失ってしまうからです。結果が分かってしまえば中身への関心が薄れてしまうのは、ごく当然のことですよね。
ですから皮肉にも、結果を気にする人ほど結果を先に振り返り、それによって中身への興味を失い、CAが機能せず、同じ行動傾向から抜け出せないため、結果を出すことがますます難しくなっていくのです。
これがPDCAを回すのが困難な要因の3つ目です。

